<本講義のためのおすすめVideo>
(8年前の時点での古い情報です)
<アメリカ>
- 怒りのぶどう(米映画)
言わずとしれた同名のスタインベックの小説の映画化。大恐慌期における中西部の白人小作農民一家のカリフォルニアへの移動と当地での移動労働者としての暮らしぶりを描く。以前はどこのVideo屋でも見かけたが最近は見かけない。探したらあるだろう。小説の方は岩波文庫で容易に入手できる。
- 天国の日々(米映画)
たぶん今世紀前半を対象としていると思う。(正確には忘れてしまった)。孤独な農場主と移動労働者の青春と恋愛の物語。当時の移動労働者の生活と農業労働の様子が映像化されているところが興味深い。若き日のリチャード・ギアが主役の移動労働者を演じる。Video店で入手可能。当方にもあり。
<イタリア>
- 1900年(イタリア映画)
1900年から1945年までのイタリアの大農場を舞台とした叙事詩。地主の息子と労働者の息子の二人の関係を軸に、ファシズム期のイタリア農村を描く。長時間もの。最近Video化された。今ならどこのVideo店にもある。
- 木靴の樹(イタリア映画)
19世紀後半期の大地主経営の小作農民の世界。息子に靴をつくってやりたかったばかりに農場の木を盗伐してしまった父親、その結果としての解雇。子供の視点から静かに描かれている。本物の農民たちの出演による。これも最近Video化され、今ならどこのビデオ店での入手可能。当方にもあるが、10年前のテレビ映像の録画のため、画質が悪い。
- 父−パートロ・パトロネイージ(イタリア映画)
後に歴史学者となった羊飼いの少年の話。近代社会とは別の固有の世界としての農民文化があることを、羊飼い少年の目を通して描く(ずいぶん前にみたので詳しいことは忘れました。)当方にVideoあり。
- にがい米(イタリア映画)
古典的名作。イタリアの米作地帯の季節労働者の恋の物語。「田植え女」のヒロインがかっこいい。最後には自殺してしまうけれど。唄を歌いながらの田植えのシーンが印象的だったな。以前はどこのVideo店でも見かけたが最近は見かけない。
<北欧>
- ペレ(デンマーク映画)
北欧農村を知ることのできる貴重なフィルム。話はスウェーデン人の老父と孫が船でデンマークに出稼ぎにやってくるところから始まる。スウェーデン人移民が問題になっているから、時期的には19世紀後半だろう。これも子供の視点からの大農場の世界が描かれている。Video店の名作コーナーに行けばおいてある可能性が高い。
- アントニア(オランダ映画)
<ドイツ>
- ブリキの太鼓 (シュレーンドルフ監督)
いわずとしれたギュンターグラスの同名小説をニュージャーマンシネマの旗手シュレーンドルフが映画化した大変有名な作品。舞台は30年代のダンチヒ(いまのグダニスク)。3才で成長をやめてしまった超能力者オスカルの目からナチ時代が描かれる。ドイツ人、ロシア人、ポーランド人、ユダヤ人に、カシュバイ人などが複雑に入り組む。農村自体をあつかった映画ではないが(でもジャガイモ畑はたくさん出てくるし、東欧農村の「感じ」はよくでてる)、ナチズムの映像化という点でここにリストアップ。Video店にあるだろう。当方にもあるが、10年以上も前のテレビからの録画のためあまり画質がよくない。
- ドイツの恋 (ワイダ監督・西ドイツ・フランス合作映画):
バイエルンの地方都市を舞台とするポーランド人の強制労働者とドイツ人女性の恋愛を描く。外国人問題からみた戦時期のナチズムの問題。ドイツなのにフランス語なのがちょっと違和感あり。Video店なら「ワイダ」監督のコーナーに行けば見つかろう。当方にもあり。
- 秋のミルク (ドイツ映画。最近)
戦間期バイエルン農村女性史、といった趣の映画。農村生活のディーテイルを知るには一番。残念ながらおそらくVideo化されていない。
- リンゴの木 (ドイツ映画。最近)
89年のベルリンの壁の解体前後のドイツのLPGを舞台とする映画。これも女性史。旧東独のLPGの世界を知るには大変よい映画。残念ながらおそらくVideo化されていない。
★この他にも、もし近代世界の農村・農業史に関わる質の高い映画作品をご存じの方、是非ご一報を下さい。